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人が触れるものは、やさしく。

さわり心地というものは、とても大切だと思います。

建具の取手、引手、階段などの手摺、テーブルの天板、椅子、そして床板 等々
これらの材に神経を行き渡らせて、少しでもやさしい手ざわり、足ざわりになりますと気持ちもやわらかくなって、心が穏やかになります。

とっても地味なことなのですが、毎日使う(触る)家族にしか分からない悦びがそこにはあるような気がします。
手あかが付くほどに手に馴染み、月日と共に愛着もわいてくると思います。

 

 

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事務所で作った建具の引手、階段手摺のサンプルです。
木材の寸法、面取りの大きさで握り心地はまったく違います。カドを際立たせるとシャープでかっこ良くなりますが、力を入れて握ると痛い。

サンドペーパーを よーく当てると使い始めから手に馴染みます。
万年筆のペン先を 書き手のくせを読み取って削る職人さんがいらっしゃるとききます。
なめらかで すべるような書き心地に 気持ちの良い一瞬を感じることができるそうですが、一つの道具と しっくり波長があうと、人は小さな幸せと出会えますね。

手前は階段踏み板の滑り止め溝で、踏み心地を確認します。

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