鈴虫寺の耐震診断
鈴虫寺は、休日には行列ができるほどの観光寺院で、一年中鈴虫の鳴くこの客殿は、1990年に私が設計を担当させていただいた、思い入れの深い建物です。
二十余年の月日を経て、外観は西山周辺の自然にとてもよく馴染んでいます。
耐震診断の依頼を受け、床下や屋根裏にも入りましたが、材木は昨日竣工したかのように時間の痕跡がなく、老朽化など どこ吹く風の艶やかな表情で建物を支えています。
漆喰を塗った土壁も良い状態で、ひび割れや柱ぎわの散り離れもほとんどありません。
良い材木に優れた施工、そして手前味噌で恐縮ですが、さまざまな検討を加えた設計もその一因であろうかと推察し喜んでおります。
22、3年も経てば解体される建物もありますが、本来建築物の寿命はそんなものではないですよと、この客殿は静かに語ってくれている気がします。
屋根裏の状況
屋根を支える束(柱)に貫を通して、楔を打ちます。木材の継手、仕口には抜け止めの込み栓が仕込んであります。
鈴虫の入ったケースが並ぶ 客殿内部