トップ > エッセイ > 近況いろいろ

竹小舞下地の左官壁

左官2.jpg

左官の壁は、日本建築の象徴です。
割り竹を縦横に組み、縄を巻き、藁すさの入った壁土を塗り込みます。
下塗り、中塗りの後、できれば一年くらい乾燥させて仕上塗りを施し完成です。
ソリッドで、芯までそのものである土壁は、拳骨で軽く叩くと心地良い音が返ってきます。

伝統建築の特徴は粘り強いこと。軸組みが斜めに傾きながら地震の力をいなします。
それには柱と柱の間を横に貫く、この「貫(ぬき)」と言われる薄い板材が大切な役割を担います。
地震国日本の知恵を活かした、世界に誇れる工法です。

左官1.jpg

ところが、です。
現行建築基準法では、筋交いという斜め材(この寺院ではボルトを使用)で柱梁を固めてしまう、わかり易い方法を推奨しているようです。
限界耐力計算等 他の耐力評価方法で強度の確認をすることもできますが、確認済証がおりるまで恐ろしく時間を要し、構造計算費用や手数料はあきれるような金額となります。

社寺建築だけではなく、本来ならばごく普通の住宅にこそ このような伝統工法を普及させていきたいのに、法律が大きな障壁となっています。

残念でなりません。

左官3.jpg

ATS造家設計事務所 一級建築士事務所(京都府登録)
京都市山科区大宅古海道町13-7 TEL 075-502-0606 FAX 075-502-0620