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ドイツとイタリア

太い字が書ける万年筆がほしいな、と思い始めてから、もう何年経つでしょうか。
軸も太く、重さを感じる万年筆が好みです。

今はセーラー万年筆のプロフィットという普及品を使っています。
もとより、筆記用具は商売道具。安物はいただけません。
プロフィットは、普及品といっても価格の設定を低く抑えてあるというだけで、グレードは高いように思います。
文字もスケッチも気持ちよく描けます。

ただ、このデザインはどうなんでしょう。
モンブランのマイスターシュテュックというシリーズとよく似ています。
どちらが後発なのかはわかりませんが、黒い軸に金の輪 という万年筆のスタンダードだからいいのでしょうか。

montblanc.jpg sailor.jpg
左:モンブラン マイスターシュテュック
右:セーラー プロフィット万年筆
左はボールペンなのでペン先が違いますが、万年筆になるとデザインはほとんど同じです。

 


ものの品質、使いやすさ、デザイン、そして価格のバランス。
建築の設計図の中で材料を指定する場合、このバランスはとても重要です。
部品数が多い建築では、良いものばかり選択しているとたいへん高価なものになってしまいます。
職人さんの技量も含め、最良のものが最適ではないのです。

欲しい万年筆の選択にも、デザインと使いやすさの葛藤があります。
左脳と右脳、理性と感性のせめぎ合い。
ペリカン社の柔らかで滑らかな書き味とビスコンティ社の官能的な形、そして色使い。
悩ましい選択です。
BMWとアルファロメオのように、共通点がありそうで交わらない。

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