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家の耐震診断を受けましょう

阪神・淡路大震災では、公共建築物も含め多くの建物が倒壊しました。
建築の仕事をしていると、「やはり」という感想でしたが、同時に土木工作物(新幹線や高速道路の高架等)も被害に遭いました。
建築の技術者として、橋梁も含めて土木工作物には全幅の信頼を置いていましたし、どんなことがあろうと地震大国日本の土木は大丈夫、と考えていたのですが、これには「まさか」でした。

建築は土木と較べ、遙かにボリュームが小さく複雑で、現場の職人さんの力量や設計者の監理の有無、また、デザインやプランニングによって、耐力も大きく変わります。
一方、土木は構造そのものです。
工事をチェックする監理者は必ず居るはずですし、納める寸法にも余裕があり、施工誤差の許容範囲も大きいはずなのですが・・・。

結論は、人が定めた構造設計基準なんて、自然はいともたやすく越えてくるということです。
大きな地震があるごとに、耐震に関する法律も改訂されているのが現実です。

また、木造住宅の倒壊によっても、多くの圧死者がでています。
木造が地震に対して弱いということではありません。
老朽化とともに木材の腐朽が進み、定期的なメンテナンスもなく、建っているのが精一杯 という建物では、たとえ小規模の地震でさえ耐えきれないのも仕方がないでしょう。

家が古くなるのは避けられないことですが、今あなたにできることがあります。

どうぞ、全国の行政が推し進めている木造住宅耐震診断を受けて下さい。
京都では2000円で、専門家が現場を確認し、どこが弱いのか、どう補強すればよいのかという報告書を作製してくれます。たった2000円です。
床面積が200㎡を越えない、昭和56年5月31日以前に着工された建物である等、諸条件はありますが、是非問い合わせをしてみて下さい。

 問い合わせ先:㈱京都すまいづくりセンターhttp://www.kyoto-sumai.jp/

京都市では、この9月から伝統工法の京町家を対象に、京町家耐震診断士派遣事業も始まります。
耐震の補強工事が最終の目標ですが、まずは診断を受けてみてはいかがですか。

SHD3.JPG 添梁と金物による2階の補強 SHD.JPG 鉄筋の入った基礎の補強 SHD2.JPG 金物により基礎と木造軸組を緊結する

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